※今回書く内容は、世の中の一般的な理解とは異なっている可能性があるという前提でお読みください。
以前、カウンセリングなどの勉強をしているとき、統合失調症の特徴的な症状は幻聴だと習ったことがありました。(幻覚ではなく幻聴です。)
しかし、それ以上のことはわかりませんでした。
だから、「きっと、症状を持たない人には理解出来ない幻聴というものが聞こえるのだろう・・・」と曖昧な認識のままに放置していました。
でも、頭のどこかに「幻聴って、いったい何なのだろう?」という引っ掛かりがあり、長い間、ずっと細々と考え続けてきました。
これまでは全く見当もつかなかったのですが、最近になってようやく幻聴という症状が理解できかけてきたような気がしています。
で、現時点での理解を書き記しておくことにしました。(あくまでも私の勝手な解釈ですので注意して下さい。)
『幻聴』 と ひとことで言って終わらせてしまいがちですが、実は2つに分類できそうです。
(1)投影型幻聴(被害妄想型)
(2)統合失調症型幻聴 ※今回の投稿では、この説明が中心になります。
幻聴の種類
(1)投影型幻聴(被害妄想型)
これは、「相手は自分に対して悪意を持っているのじゃないか」という思いや、その思いから派生して生じる考えに、何かの要因によって執着してしまうことで起こるようです。(例えば、「暗い人間と思われているかもしれない」とか「容姿が良くないと思っているかもしれない」とか、「今、くしゃみをした自分を面白がっているかもしれない」とか・・・)
それらの考えを繰り返し浮かべる内に、いつの間にかその考えの発信源を対象に投影してしまい、相手がそう思っていると信じてしまうようになります。
ここまでの説明は、被害妄想の説明と同じです。
ですが、人によっては、自分の中に湧いた考えを、実際に相手がそう思っていると感じてしまい、その先に進むと、相手の声として聞いてしまう人はいるようです。
※ 特に、ここから先の説明は、文献や調査などによらずに、私が勝手に考えたことです。鵜呑みにしないように気をつけて下さい。
(2)統合失調症型幻聴
脳は、眠っているときにも、働いていることはよく知られています。
その象徴的な現象が『夢をみる』ということです。
この夢を見ているとき、「夢は深層心理と関係がある」とは言われています。
しかし、私たちは、多くの場合、夢の中で「それが夢である」と自覚することができません。
また、その夢の筋書きを意識的にコントロールすることは出来ません。
つまり、夢という現象の中では、
- 脳は私たちの意識から切りはなされたところで働き、様々なイメージを作り出し、
- 脳の勝手な働きによって創りだされたイメージを、私たちは感知している
ということができます。

このような脳の勝手な働きは、実は、夢の中に限られたことではないのではないかと考えています。
1.空想/物思いにふける
例えば、私たちは、ボーッとしていたりすると、気づかないうちに空想にふけっていることがあります。この空想は、意識から離れたところで展開していくところがあります。このことは、空想に陥っていることを自覚することを「我に返る」(「意識を取り戻す」)と言ったりすることにも表れているように思います。
2.鼻歌
気分が良くて鼻歌などを歌っている時などは、「意識して歌を歌っている」というよりは、「頭に浮かんでくる歌に合わせて、歌を口ずさんでいる」という方が近いでしょう。
3.頭に浮かんだ「嫌な考え」
例えば、目の前にとても高価なグラスがあったときなど、そのグラスを倒して割れるイメージが浮かんで、ドキドキしたりするようなことがあると思います。この場合、頭に浮かんだイメージの解釈によって、受け止め方が変わってきます。
あまり深く考えないと・・・
「グラスを倒して割らないように気をつけよう」と思い、その考えはその後の行動に活かされます。
ちょっと自分に対して意地悪に考えると・・・
「自分には、グラスを倒したい衝動がある」といった解釈になってしまいます。でも、その後すぐに、「イカンイカン、悪い考えが浮かんでしまった・・・」と、自分の意識とは無関係な考えとして捨て去り、その考えに囚われ続けることはありません。
幻聴の原因として想定したこと
これらを踏まえて幻聴を考えると、次のような可能性が浮かび上がってきます。
(a)「自分意識と無関係のイメージが浮かぶのは普通のこと」ということを知らない
- 「自分意識と無関係のイメージが浮かぶのは普通のこと」ということを知らないということを知らないために、一般の人があまりこだわずに対処している脳が勝手に創りだしたイメージや情報 (以降、これをこの投稿では「意識外思考」と呼んでみます) に必要以上にこだわってしまう
(b)自己意識の強度が弱い
- 自己意識の強度が弱い
- そのために、意識外思考を、意識によってコントロールされるイメージや情報と同じレベル、或いは、それよりも強いレベルで感知してしまい、必要以上の情報が意識化されてしまう。
(c)脳の働きが強すぎる
- 脳の意識外の部分の働きが強すぎる
- そのために、意識外思考を、意識によってコントロールされるイメージや情報と同じレベル、或いは、それよりも強いレベルで感知してしまい、必要以上の情報が意識化されてしまう。
(a)~(c)のいずれの場合も、
- 本人が「それは自己意識によるものではない」と区別している状態を、「幻聴」という症状に分類されている
- 逆に、「それは自己意識が創りだしたものだ」と認識すれば、別の症状に分類されている
のではないかと、今は想像しています。
統合失調症は、一括りに「気質の病気」とされているようですが、こうやってまとめてみると、
- 気質によるものである可能性は ・・・ (c)
- 後天的な何らか(ex.幼少期の家庭環境)の影響によるもの ・・・ (b)
- 正しい解釈を知らないだけ ・・・ (a)
の3つの要因が考えられるのかもしれません。
いずれにしても、意識外思考が、自分の意識的思考 と 同じレベルで存在するとしたら、それはとても苦しいことだと想像します。
早い時期に気づいてあげて、早い時期から優しくしてあげる事が、もしかしたら、一番の薬なのかもしれないと思ったりします。
ちなみに、幻覚を見ないのは、実際に目から脳に伝わる刺激が、意識外思考に比べたら遥かに強烈なので、意識外思考によるイメージを打ち消してしまうからなのだろうと考えています。
※最後に繰り返しますが、以上の説明は、私の勝手な解釈なので、全てを鵜呑みにするのはとても危険です。「頭の片隅に、ちょっとだけ隙間をつくるための情報」くらいの位置づけにして、大部分は読み捨てて頂ければと思います。
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