16. 『依存症』に関する1つの考え方
読むカウンセリング【No.0015】 2008/06/05
『依存症』に関する1つの考え方
依存症というと、一般的には、「その状態に陥っている個人の『意思が弱さ』によって、依存症的な行動を止められない」といった感じに理解されていることが多いように思います。
そんな状態について次のように考えてみると、そこから抜け出すヒントをつかめるかも知れません。
1.快と不快について
人の感覚は、大きく快と不快の2つに分類できると考えられていると思います。
そして、依存症的行動は、快の感覚を得ることを目的とした行動を繰り返しているように観察されるので、現実や不快なことなどから逃げているように認識されることが多く、その行為を止められない意志の弱さが問題視され易いところがあります。
ここで、はじめの人間の感覚に対する認識を、次のように改めて下さい。
■人の感覚は、大きく「不快」と「不快でない」の2つに分類できる。
■人は、自分に生じた不快が、解消される方向に変化するときに快を感じる。
2.快を得られた行動
われわれは、普通、快の感覚とそれを得る為の行動が結び付けて認識しています。
これは、「過去の経験によって、快の感覚を得られた行動」が記憶されているに過ぎません。
ですから、未来においては、その行動によって同じような感覚を得られることも期待できますが、実は、それが得られる保証は一切ないのです。
3.不快を不快でない状態に戻す為の行動
不快を感じたときに、実際にそれを解消する為には、それが何によって生じているのかをもう少し細かく見ていく必要があります。
仮に、それが空腹という不快感なら何かを食べれば解消します。寒さという不快感なら、暖かくなるように工夫すれば解消します。
このように不快の所在を的確に把握し、それを解消する為の方法を考え行動すれば、不快は消失し、一連の行動は終結します。
4.同じ行動を繰り返してしまう理由
本来は寒さを感じているのに、本人は空腹だと誤って認識してしまったとします。
普通、空腹と認識すれば、何かを食べることで解消すると考えます。
このとき仮に、スナック菓子をたくさん食べたとします。
しかし、これは寒さによる不快が原因なのですから、スナック菓子を食べても、もともと感じていた不快は解消しません。
ここで、本人に『不快の原因は別にあるのかもしれない』という視点があれば、そのうちに暖かくすることで不快から脱することができると思うのですが、空腹という認識から離れられないと、再び、食べるという行為を始めてしまうことになるのです。
5.行動の繰り返しから抜け出す為に
依存症的な行動の繰り返しから抜け出せないとき、次のような状態であることが多いと思います。(恐らく、強迫神経症的行動も同じように考えられるのではないかと思います。)
■本来の不快の原因とは異なることを、原因と思い込んでしまっている。
■自分が本当に求めていることを理解する前に、容易に思い浮かぶ「快につながりそうだと思っている行動」を起こしてしまっている。
そして、本来の不快の解消には結びつかない行動をする為、当然、もともと感じていた不快が解消することはありません。
このようにして、同じような行動の繰り返しに陥ってしまうのだろうと思います。
詳細は省略しますが、その不快が心理的なものであれば、その事象に直接働きかける前に、まず、誰かに、優しくしてもらって下さい。
優しくしてもらおうとすることから逃げること、そして、優しくしてもらうことから逃げることが、依存症的行動の本質だろうと思っています。
※詳細は、メルマガのバックナンバーやホームページを参考にして下さい。
※優しくしてもらう方法は、次のURLを参考にして下さい。
http://www.library.pureheart-counseling.com/single-content-collection/sokasoka/