心を楽にするために振り返る子育て

第11回 後悔しないために

(2005/09/29)

「もし、違う選択をしていれば・・・」という考えから抜け出せなくなってしまうことがあります。

そして、そこから抜け出せない原因を、自分の性格の傾向性だと決めつけて、「自分はマイナス思考だからダメなんだ・・・」と責めたり、「もっと、プラス思考にならなければならない!」と精神論的な結論を出してしまう人が多いように感じています。

でも、そう考えて無理に前向きになろうとすると、「過去が気になる」という自然な気持ちを否定してしまうので、苦しい気持ちから解放されることは少ないかもしれません。

過去を振り返ることを表す言葉に、『後悔』と『反省』がありますが、『マイナス思考は後悔』、『プラス思考は反省』と関連付けることが出来ると思います。

そして、プラス思考の本質は、過去への思いを切り捨てることでも、前に進み続けることでもはなく、『反省を将来に活かそうとすること』だと考えています。

反省というと簡単に出来そうなのですが、実は、準備をしていないと難しいところがあります。

ですから、プラス思考になる為には、『将来の自分が反省出来るように今を生ること』が大切だと考えています。

後悔しているときは、「自分が決断を誤ったから、今の状況になってしまった」と錯覚していることが多いように思います。

錯覚という言葉を使った理由は、決断の場面を改めて振り返ってみると、「決断できずに流されていた」と気付く人が非常に多いと感じているからです。

例えば、「晩ご飯、カレーと親子丼のどっちにする?」と母親に聞かれて、「どっちでも良い」と答えたとします。母親は「カレーにしよう」と決め、カレーを食べることになります。

しかし、実際には、自分は何も決断をしていません。

ですが、「カレーを食べた」という結果から、あたかも自分がそう決断したかのように錯覚してしまうことがあるのです。

この例で上手くお伝えできたか分かりませんが、同様の状況は普段の生活の中に沢山あります。

決断は、「これから起こること」の原因として、自分が関与している部分を明確にします。

そして、それが、将来に反省する時の基準となり、また、基準があるから修正することが出来る、つまり、反省を将来に活かすことが出来るようになります。

逆に、決断をしていないと、この基準が明確にならず、修正したくても、修正する元が無いから困ってしまい、「違う選択をしていれば、こんな事にはならなかったかもしれない・・・」と漠然と後悔するしかない状態に陥ってしまうのです。

ですから、一見、決断の余地が残されていないと感じるような状況、例えば、「早くお風呂に入りなさい!」と怒鳴られて従わざるを得ない状況でも、「よし、お風呂に入ろう!」と自分で決断し、『自分で決断したから行動した』という形を整えていく事が大切だと思います。

普段、何気なく逃してしまっている決断のチャンスを、もう一度見つめ直し、それがどんなに些細なことでも、貪欲に自ら決断していこうとすることは、きっと、自分らしく生きていることを実感し、後悔しない将来や幸せを手に入れることにつながっていくのではないかと思います。

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