似たことを、前にも書いたかもしれませんが、ふと頭に浮かんだので、ちょっと書いておきます。
電話相談のボランティアになるための勉強をしていた頃、
「相談者を否定してはいけない」と教わりました。
カウンセラーになるための勉強をしたときも、カウンセラーの基本姿勢として
- 無条件の肯定的関心
- 自己一致 ・・・ 「思っていること」と「言っていること」を一致させること
- 受容・共感的理解
といったことを習いました。
考えの告白
ところが、この「相談者を否定してはいけない」「自己一致」を守ろうとすると、
相談者が、例えば、犯罪につながりそうな考えを話したとき、
- 相談者の言ったことを肯定すれば、犯罪を容認することにならないか?
という疑問が生じ、相談者を肯定できない状態に陥って困ってしまいます。
このような時には、どうしたら良いと思いますか?
- 教えの通りに、相談者を無条件に肯定しますか?
- 教えに逆らって、相談者の言ったことを否定し、正しい方向に導こうとしますか?
「犯罪につながりそうな考えを話した」という行動は、
次の2つに分解することが出来ます。
(1) 相談者には「ある感情」が生じている
(2) その「ある感情」を抱えたまま、その感情を解消する方法を考えた
そして、(1)の感情を肯定します。
例えば、次のような感じです。
「そうか、そんなにつらい気持ちだったんだね。
そんなにつらい気持ちを抱えたまま悩んでいると、そんなこと考えちゃうかもしれないよね・・・。」
この言葉には、
「感情を抱えたままにしなかったら、そんなことを考えなくても済むかもしれない」
という暗示が含まれています。
実際、相談者の考えを改めようとしなくても、
相談者が感情を排出し、楽な気持ちを取り戻すことが出来れば、
自然に、そのようなことは考えなくなるものなのです。
ちなみに、このような相談者の抱え込んでしまった感情を上手く吐き出せる流れを考え、それを実現するのが、心理カウンセリングだといえます。
行動の告白
「社会的に批判されるような行動をした」と告白された場合にも、
「相談者を否定してはいけない」「自己一致」を守ろうとすると、
- 相談者の言ったことを肯定すれば、犯罪を容認することにならないか?
という疑問が生じ、相談者を肯定できない状態に陥って困ってしまいます。
これも、次のように分けて考えます。
(1) 相談者にはある行動を起こしてしまった(相談者の行動がある出来事につながってしまった)
(2) その結果、相談者は「ある感情」を抱えてしまっている
そして、例えば、次のような感じに応答します。
「そうか、そんなことが起こったから、苦しい気持ちになっているんだね・・・
そうだよね、苦しくなっちゃうよね・・・。」
「感情の明確化」はカウンセラーへの戒め!?
確か、カウンセリングでは、
- 感情の明確化
ということも大切だと習ったと思います。
初めは、これをカウンセリングの技法(手順の一つ?)として理解していました。
でも、今は、そうではなく、
- カウンセリングで行き詰まらないための「カウンセラーへの戒め」
と理解しています。
溜め込んだ感情を吐き出すことができれば、
それを当事者にぶちまけなくても、気持ちは楽になるものです。
これが、ほとんどの相談者は意識していませんが、心理カウンセリングの『真の目的』だと思っています。
ですから、カウンセリングを活用しようとする相談者の方も、
事実関係や考えばかり話すのではなく、
その後ろに隠れてしまっている「自分の感情」があると意識し
それに気づき、吐き出す練習をすると良いと思います。
そうすれば、「また、つらくなったらカウンセリングに来れば良いや」と思って意外に早く終結したり、
カウンセリングを受けなくても身近な人に話して楽になれたりするようになると思います。
おじさんたちが、若いお姉ちゃんがいるキャバクラではなく、
肝っ玉かあさんのようなおばちゃんがいるスナックに行きたくなるのも、
同じような理由ではないでしょうか。
苦しい気持ちを吐き出すだけで、色々なことが変わります。
なぜ、色々なことが変わるのか?
それは、また今度、説明します。
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