心を楽にするために振り返る子育て

19.  『心の苦しさ』と『サウナ風呂』

読むカウンセリング【No.0018】 2009/03/25

 『心の苦しさ』と『サウナ風呂』

「心の苦しさ」について理解しようとするとき、サウナ風呂をイメージすると理解しやすいということに気付きましたので、今回のメルマガでは、そのことについて説明してみたいと思います。

1.『サウナ風呂』について

サウナ風呂は、広く知られていると思いますので、あえて説明をする必要はないと思われますが、一応、念のために私なりの説明をすると、「室温が80~100℃位に設定されている汗を流すための設備」ということになります。

公共浴場や温泉施設などに併設されていたり、スポーツクラブなどに設置されていることは多いと思います。

2.なぜ、サウナに入るのか?

私はサウナ風呂が苦手で好んでは入らないのですが、サウナ風呂が好きな人も多いと思います。

ここで、「なぜ、人はサウナに入るのか?」を少し考えてみて下さい。

  • 汗をかくことが体に良いから。
  • サウナから出た後のビールがうまいから。
  • サウナから出た後の爽快感を味わいたいから。

他にも沢山の理由があると思います。

しかし、それらを期待することができるのは、その前に、大切な前提があるからなのですが、それが何か分かりますか?

それは、

■サウナに入っても、自分が出たいと思った時にはいつでも外へ出られることが保障されている

ということです。

もし、「サウナに入ったら、二度と外へは出られなくなる」という前提があったら、サウナに入る人など居なくなると思います。

3.もし、サウナから出られなくなったら・・・

実際にはありえないのですが、貼り紙で次のような告知を行っているサウナがあると想像してみて下さい。


【貼り紙の内容】

■食料・飲料提供装置も設置されています。無料で無制限にご利用頂けます。

■このサウナに誰かが入ると、その人たちが出るまで、外から入ることが出来なくなります。あなただけの空間で、何時間何日何年でもごゆっくりおくつろぎ下さい。

■このサウナはボイス制御システムを採用しております。サウナから出たいときは「開けゴマ」と言って下さい。それ以外の方法では、決して外に出ることが出来ませんのでご注意下さい。

■このサウナは核爆発にも耐える設計になっていますので、核シェルターとしてもご利用頂けます。


この貼り紙は、サウナの外側にあるだけで、中には何の貼り紙もありません。

そんな重要な貼り紙には気付かずに、これまでと同じように、いつものサウナと同じだと認識し、いつでも外へ出られると思って入ったとします。

はじめのうちは、いつものように「いつでもサウナから外に出られる」と思っているので、楽にサウナに入っていられます。

そして、サウナから出ようとした時に、自分が置かれている事態に初めて気が付きます。

「出られない!?」

必死に外への扉を開けようとすると思います。

そのサウナは、完全に閉ざされ外部から遮断された空間になっており、外から中の様子を見ることはできません。また、叫んでも、外にその叫び声が届くことはありません。

ただ、幸いなことに、そのサウナの中には、水道がついており、いつでも冷たい水が出てきます。好きなときに飲んだり、体にかけたりすることは出来ることには救われます。食事の心配も要りません。

しかし、いくら開けようとしても、外への扉を開くことができません。

このような時、閉じ込められた人の反応は、次の何れかのようになるだろうと思います。

(1)外に出る方法が絶対あるはずと、その方法をあれこれと考え解決しようとする

(2)外に出ることを諦めて、その中でも如何に快適に過ごすかを考えて実践する

(3)体の疲労を抑える為に、水を飲んだり浴びたりし続ける

やがて、我慢が限界に達すると次のような破壊衝動に駆れらる状態に陥ると思います。

(4)サウナから出る方法はないと考え、サウナを破壊しようとする

(5)こんなサウナで生きていても仕方ないと、自らの命を絶つ

「開けゴマ」と言えば外に出られることさえ知っていれば、何の問題もなかったのですが、それを知らなかったがために、(1)~(5)のような状態に陥ってしまうのです。

まさか、「開けゴマ」と言えば外に出られるなんて、思いもしないだろうと思います。

4.心の苦しさのサウナ

心が苦しい状態は、前章『3.もし、サウナから出られなくなったら・・・』で説明したサウナと同じような状態なのです。『心の苦しさのサウナ』において、この『まさかの「開けゴマ」』に当たるのが、

■苦しい気持ちを、誰かに正しい話し方で話す

■苦しい気持ちを、誰かに側に居てもらいながら、正しい泣き方で泣く

ということなのです。

前章の(1)~(5)を心の苦しさの状態として表現してみます。


(1)自己否定やコンプレックス、他者否定、「過去の経験」の否定など

・・・自分や他人や環境が変れば、心の苦しさは解決するのではないかと、問題や原因をあれこれ考えている状態

(2)うつ的な状態・神経症・心身症など

・・・自分の思考を変えることで、心の苦しさの中で、心を楽にしようとしたり奮い立たせようとしている状態

(3)依存症的な状態

・・・楽しいことで苦しさを打ち消そうとしている

(4)他人の命を絶とうとしたり、何かを破壊しようとしたりする状態(通り魔的な事件も含まれる)

・・・心の苦しさを解決できずに行き詰った結果、苦し紛れに、「何かを破壊すれば、解決するかもしれない」と考え、その考えに執着してしまった状態

(5)自分の命を絶とうとする状態

・・・心の苦しさを解決できずに行き詰った結果、感じる主体である自分という存在を消滅させることで、その苦しさから解放されようとする状態


(1)~(5)のどの状態においても、その本当の気持ちは、「ただ、『心の苦しさのサウナ』から外に出たいだけ」なのです。

しかし、サウナの中で何をしても、それはサウナから出ることにはつながりません。

何を考えても何をしても、「開けゴマ」を言わなければ、絶対にサウナから出ることが出来ないのです。

そして、それを知らないと、心の苦しさのあまりに、それ以外の考え付いた解決策に執着せざるを得なくなってしまうのです。

繰り返しますが、心の苦しさを解決する方法は、

■苦しい気持ちを、誰かに正しい話し方で話す

■苦しい気持ちを、誰かに側に居てもらいながら、正しい泣き方で泣く

しかないのです。

『心の苦しさのサウナ』から出る方法は、そんないつでも出来そうな簡単なことなのです。

ただ、その行為にそんな働きがあることを知らないから、試そうとすることもなく、その結果、それを使えずに、『心の苦しさのサウナ』から出られなくなってしまっているのです。

ちなみに、『心の苦しさのサウナ』の入り口となりそうな事象を避けようとするのが、恐怖症的な反応です。

いずれの場合も、「開けゴマ」のおまじないが『苦しみのサウナ』の出口の扉を開いてくれることを知っていれば、『苦しみのサウナ』から容易に出ることができるのです。

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