24.子供には、「謝れば許される」ことを経験させることが大切
読むカウンセリング【No.0024】 2012/02/22
子供の頃の体験は、その人の人生に大きく影響してきます。
今回は、子育てネタをひとつご紹介します。
子供には、「謝れば許される」ことを経験させることが大切
何か失敗をしたりした時に、その出来事に対する感覚は、大きく2つの感覚に分類できます。
- 自分が起してしまったことを告白して、適切に対処しようとする
- 自分が起してしまったことを隠ぺいして、発見されないようにする
(発覚時期を先延ばししようとする)
この違いは、何によって生じるのでしょう?
生まれ持った人の性質でしょうか?
たぶん、違います。
それは、幼少期の経験が大きく関係していていると考えています。
この世に生れてきた子供は、もともと、ものごとに善悪という分類があることは知りません。
そこで、それらを子供に教えるのが、親のしつけの役割の一つとなっています。
しつけの方法には、褒める・冷静に諭す・叱る・おだてるなど色々な方法が考えられますが、今回は、「叱る」という方法に関連したことを取り上げます。
一般的に「叱る = しつけ」と一括りにされてしまいがちですが、「叱る」と呼ばれる行動は、実際は次の2つに分けることができます。
- 親が怒ったふりをして、悪いということを教えようとしている
- 親が感情的に怒っているだけなのに、それを『しつけ』として正当化している
このあたりのことに関しての細かい説明は省きますが、どちらにしても、『親が怒っている』と単純に認識し、子供は親に謝ります。
重要なのはここから先です。
大切なことは、『 子供が謝ったタイミングでしっかり許す 』 ということです。
子供は「きちんと謝ったら許してもらえる」という経験を繰り返すことによって、「悪いことや失敗をしても、それをきちんと告白して謝れば、許してもらえる」ということを学習していきます。
頭で理解するというよりも、感覚として身につけていきます。
その結果、間違って良くないことをしてしまっても、正直に告白し誠実に対処できる人へと成長していきます。
許される予感がするから、「きちんと謝ろう」という気持ちが生じるのです。
ところが、自分の過ちが発覚した時、いくら謝っても許してもらえず、親の気が済むまで言いたいことを言われ続け、いつ許されるかは親の機嫌次第・・・といったことを繰り返される状況だったとしたらどうでしょう?
自分の過ちを告白することの意味が変わってきます。
親に、自分の過ちを告白することは、許されるための行動ではなく、親の機嫌を悪くし、親の機嫌が直るまで責め続けられるような苦しい状況へと、自分を追い込む行動となります。
これでは、過ちを告白することに、子供にとってのメリットは微塵もありません。
そんな状況になることが予測されるのに「親に告白する」といったマゾヒスティックな行動をしようと思うわけがありません。
親から隠そうとするのは、むしろ当然の心の動きだと言えます。
「自分の過ちを見つけられると、責め立てられていつまでも許してもらえない」と
いった経験を繰り返すと、相手が親でなくても、自分の過ちを語れなくなり、逆に隠そうとする傾向を身につけた人へと成長していくことになります。
些細な隠しごとでも、やがて自分を追い詰めることにつながっていきます。
ですから、告白しにくい傾向を身につけさせてしまうと、子供の人生を、いつも何かに追い詰められているような感覚を伴ったものにしてしまう恐れがあるのです。
世の中の犯罪は大きく分けると、次の2つに分類されると考えています。
- ものごとへの過度の執着が、人に犯罪行為を引き起こさせてしまう
- 起きたことを隠そうとする行動のつながりが、結果的に犯罪になってしまう
子供に対して感情的になりやすいとき、特に、『許す』というステップを省略しやすいところがあります。
子供が謝ったときには、「許してあげる」というステップを踏むことを、決して忘れないよう意識することが大切です。