第05回 他人(ひと)に厳しく、自分に厳しい!?
(2005/05/05)
不平不満を言う中で、『他人に厳しく、自分に甘い』という言葉を耳にすることがありますが、その言葉は、あまり正確ではないと考えています。
そして、その不正確な認識が、私たちの心を、混乱させてしまうところがあるように思います。
『他人に厳しく、自分に甘い』の根拠は、次のような文脈で示されることが多いと思います。
《Aさんは言いました》
だって、Bさんは私に、「時間を守りなさい!」って、うるさく言うくせに、自分はどうなのよ!
この前、「机を綺麗にしてね」って頼んだのに、相変わらず汚いままじゃないの!
これを正しく理解するには、次のポイントに注目することが大切です。
●Aさんにとっては、『整理整頓』が大切
●Bさんにとっては、『時間を守ること』が大切 つまり、2人が大切にしていること(基準、価値観・・・)は異なっているのです。
もし、Aさんが、Bさんの視点で、Bさんの行動を振り返えれば、
○Bさん自身も、時間に厳しく行動している
と、きっと、気が付くだろうと思います。
逆に、Aさんが、Aさんの視点で、Bさんの行動を振り返えれば、
○「Bさんは整理整頓にルーズだ」
ということ以外に、
○Aさんが整理整頓にルーズだった時でも、Bさんは同じように寛大だった
と、きっと、気が付くだろうと思います。
ちなみに、Bさんの寛大さが、Aさんの記憶に残らないのは、
○Aさんが整理整頓を出来なかった時、Aさんは自分自身を強く戒めてしまうあまりに、Bさんの寛大さに気付かなかった(或いは、Bさんの寛大さを素直に受け入れられかった)
のではないかということが考えられます。
「他人に厳しく、自分に甘い」を正確に表現すると、次のようになると思います。
●「他人に厳しく、自分に厳しい」、「自分に甘く、他人に甘い」
このように理解することは、今まで見逃してしまっていた大切な事が、見えるようになることを手伝ってくれるかもしれません。
【補足】
◇「相手が他人(ひと)に厳しく要求している」とあなたが感じること、それをゆっくり見つめてみると、きっと、『相手の苦しみ』が見えてくると思います。
◇あなたが、他人に対して苛立ちを感じたり、厳しくしてしまうこと、それをゆっくり見つめてみると、『自分自身を苦しめていた囚われ』に気付いたり、そこから開放されることを手伝ってくれるかもしれません。