25.外しにくい仮面の外し方
読むカウンセリング 2012/02/29
外しにくい仮面の外し方
人は、時や場所に応じた仮面をかぶっている(役割を演じている)というように表現することがあります。
例えば、子供に対しては父親の仮面、職場では課長の仮面というような感じです。
普通、それらの仮面は、時や場所が変われば、脱ぎ捨てて、何の役割に縛られることのない『素の自分』に戻ることができます。
人によって、『素の自分』に戻れるタイミングは様々です。
例えば、「子供に対しては父親の仮面をかぶる」と書きましたが、子供と一緒にいるときに『素の自分』に戻れる人もいるでしょう。
他にも、いろいろ考えられます。
- 趣味に没頭しているとき
- 友だちと会っているとき
- 自然の中にいるとき
- お風呂に入っているとき
- ペットの世話をしているとき
- 美味しいものを食べているとき
- ・・・・・
このようなことを工夫することによって、大抵の仮面は外すことができます。
仮面を外して『素の自分』に戻れる時間や場所を持つことは、心や体の疲れを癒しイキイキした自分を取り戻すことにつながります。
ただ、このような工夫では外せない仮面があります。
それは、どんな仮面だと思いますか?
例えば、明るい人間を演じているようなところを想像してみて下さい。
この場合も、「『明るい人間』という仮面をつけている」という表現は当てはまるので、他の仮面と同じように思えます。
でも、次のように書くと、違いが明確になります。
- 『明るい人間』という役割を演じている
明らかにおかしな文章です。
世の中に『明るい人間』という役割はないからです。
この種の仮面を外すことがとても難しいのです。
なぜなら、「外す」以前に、
- その仮面をつけていると気づくこと
- 仮面をつけていることを認めること
がとても難しいからです。
この仮面をつけてしまうと、『自分自身を演じている状態』になっています。
普通の人が、『役割』という仮面を外して戻っていく『素の自分』の部分を演じてしまっているのです。
戻り先を見失ってしまっているとも言えます。
(心理用語では「自己否定」がこれに当てはまりそうです。)
かといって、その状態を問題だと考えてしまうと、出口が見えなくなってしまうので注意が必要です。
なぜなら、「自己否定」する自分を更に否定することになるので、自分を肯定して安定することには、決してつながらないからです。
『明るい人間』を演じている状態を例に話を続けます。
『明るい人間』を演じている状態では、漠然とした自己否定をしているので、苦しく感じることはあっても、楽な状態ではありません。
ですから、「好ましい状態」かといえば、そうではありません。
しかし、決して「理解出来ない奇妙な状態」などではありません。
「自分が嫌で、明るい自分になりたい」と願う気持ちは、必ず理解できるのです。
例えば、次のように自分自身に問うてみます。
- 明るい自分だったら、何を手に入れることができるの?
- 明るくない自分だったら、何を失ってしまいそうに感じるの?
その答えが、例えば、次のようなものだったとします。
- ○○さんと仲良くしたいから・・・
- みんなに嫌われたくないから・・・
- もう、一人ぼっちにはなりたくないから・・・
そう答えた自分自身に対して、次のように自分が言ってあげます。
■そうだよね、そうだったら、明るい人間になりたいと思うよね・・・
■そうだよね、その気持ち、とってもよく分かるよ・・・
■そうか、寂しかったんだよね・・・
■そうか、嫌われるのが怖かったんだね・・・
気持ちを込めて、■のような言葉を、何度も何度も自分の心に投げかけます。
すると、そんなに時間が経たない内に、それらの言葉が『心に染みこんでいく』ような感覚が生じるはずです。
それが、自分の気持ちを理解したことによって、仮面が外れ始めたサインです。
「自分の心を理解する」とは、そういうことです。
理論や理屈ではないのです。
最後に、自分との対話の参考になりそうなページをご紹介しておきます。
●ボクと君の仲直り ~ いつもボクを守ってくれている君 ~
http://www.pureheart-counseling.com/short_story/560
●ボクと君とのトラウマ・タイムトラベル
http://www.library.pureheart-counseling.com/story-of-the-mind/trauma-time-travel-between-me-and-you/