心を楽にするために振り返る子育て

自然なコミュニケーションの回復を妨げる3つの壁

トピックス

自然なコミュニケーションを取り戻して心の苦しさから解放されるために乗り越えなければならない3つの壁について説明します。

(自然なコミュニケーションを取り戻せば、心の苦しさから解放される理由は、『 心理カウンセリングに価値を見出せない方へ ・・・ 心理カウンセリングが心に働く理由 』を参考にして下さい。)

【第1の壁】 問題意識の固着

「心に問題がある」という認識は、不健全なコミュニケーションによって感じさせられる不快感を「心の問題によって生じる苦しさ」と解釈することによって生み出されます。

そのように考えるようになってしまう背景について説明します。

例えば、ひどいことを言って相手をつらい気持ちにさせてしまったとします。

本来ならば、「少し言い過ぎてしまった、ごめん」というように謝ってもいい場面です。

しかし、そんなときに、逆に、「こんなことを言われたくらいでメソメソするんじゃない」、「おまえの心が弱いからつらく感じるんだ」、「おまえがきちんとすれば、私もこんなことを言わなくても済むんだ」などと責める人がいます。

自分が「つらい気持ちにさせた責任」は棚に上げて、それを「つらい気持ちになった責任」として相手に押しつけてしまうのです。

このようなコミュニケーションは、他人の感情を受けとめることが難しい人がやってしまいがちです。

このように相手の感情を責める傾向は、感情を抱えている人なら誰に対しても現れがちで、相手の感情を受けとめないまま、次のような関わりをしてしまい易いところがあります。

●その感情につながる出来事を変化させることによって感情を解消しようとする

  • あれこれと解決方法を提案して、相手がそれを実践することを要求し、その実践結果によって感情を解消させようとする
  • 相手にその感情が生じる原因となった場面に自分が出て行き、状況や結果を変化させることによって、感情を解消させようとする

●相手自身にその感情を解決させるように仕向ける

  • 相手の感情を否定して感情を改めさせようとする
    (そんな風に思わなくても大丈夫だよ。考えすぎだよ。楽しいことをして気分転換しなよ。)
  • 相手の考えを否定して感情を改めさせようとする
    (そんな風に考えるから駄目なんだよ。もっと前向きになれよ。)
  • ネガティブな感情を相手の心の中で解決させようとする
    (自分の心のことは自分で解決するしかないんだ。)

●その時の相手の感情には触れないようにして、相手が自分に感情を表現することから逃れようとする
(感情表現を聞き流す。感情に気づかない振りをする。話題をそらせる。そっとしておく。)

●その感情が生じる可能性のある行動をしたことを否定し、将来に同様の体験をすることを防がせようとする
(どうしてそんなことをしたんだ。だからするなっていったのに。)

このように関わられることが当たり前の生活をしていると、「感情を表現すれば無視される」とか「感情を表現することは良くないこと」とか「自分の感情は自分自身で解決するしかない」とか「ネガティブな感情を感じてはいけない」などという誤った考えがすり込まれてしまいます。

そこで、問題意識が自分の方に向かってしまうと、「不快を感じなくなるためには自分の心を変えなければならない」と考えるようになり、コミュニケーションの問題が心の問題へとすり替わってしまうのです。

付け加えると、これらのような状況は全て人間関係の中で生じるのですから、人間と関わることに良いイメージを持っていることは少ないと考えられます。

一旦、そう信じてしまうと、「心の苦しさ」の原因がコミュニケーションにあると言われても「そんなことで心の問題が解決するはずがない」と思えてしまうようになります。

せっかく心理関係の書籍やインターネットの情報から解決へのヒントを得ようとしても、「心の苦しさは心の問題によって生じる」という前提の情報ばかりに目が向いてしまいます。

そして、ますます「心理的な症状・問題行動・心の苦しさは、自分の心に問題があるから起こる」という思い込みが強くなってしまいます。

このような状態になると、「心の苦しさは、心の問題ではなくコミュニケーションの問題によって生じる」と認識を改めることがとても難しくなってしまいます。

これが、「心の苦しさ」の解決を阻む、第1の壁です。

【第2の壁】 普通のコミュニケーションの混乱

第2の壁は、「健全なコミュニケーション」と「不健全なコミュニケーション」の区別がつかなくなってしまっていることです。

日常的に「不健全なコミュニケーション」にさらされてそれが当たり前になってしまうと、その人にとっては、「不健全なコミュニケーション」を「普通のコミュニケーション」、つまり、「正常なコミュニケーション」と感じるようになってしまいます。

逆に、「健全なコミュニケーション」を「普通ではないコミュニケーション」、つまり、「異常なコミュニケーション」と感じるようになってしまうのです。

心が苦しいと感じているのですから、それには原因があるはずです。

原因がないのなら、心が苦しいと感じるはずはありませんし、また、感じている心の苦しさから解放されるための方法を考えることもできません。

本来ならば、不健全なコミュニケーションによって苦しいと感じるのは、心が健全である証拠です。

しかし、不健全なコミュニケーションが行われているにもかかわらず、それを「正常なコミュニケーション」と認識してしまうと、健全な心の中に問題を探すしか道はなくなってしまうのです。

「楽な気持ちになるためには、心の問題を解決しなければならない」という考えにとりつかれてしまうと、実際には何の問題もない健全な心なのに、心の中に「問題と認識できそうなこと」を見つけ出し、それを「心の苦しさの原因」と決めつけて、そして、それを解決しようするようになるのです。

※このときのコミュニケーションでどのようなことが起こっているかの細かな説明は、「精神分析的な説明」にて説明しています。
http://www.pureheart-counseling.com/psychoanalysistic

自然なコミュニケーションを回復させるためには、自然なコミュニケーションとはどのようなものなのかを知ることが大切です。

しかし、ただ、自然なコミュニケーションを知り、それを実践しようとしたとしても、自然なコミュニケーションへと回復させることは出来ません。

なぜなら、それだけでは、自分の気持ちとは関係のないところで、「自然なコミュニケーション」と考えるコミュニケーションをしようと努力しているに過ぎないからです。

これは、強い心になろうとして、「このような場合、強い心の人なら、このように行動するだろう」と考えて、そのような行動を自分に強いている状態と何ら変わりはないのです。

このような努力は、心に苦しさを抱えた人のほとんどは、心の苦しさを抱えない人の10倍も20倍も努力してきています。

それでも、自分が考える強い心の人の振りはできても、本当にそのような人にはなれなかったという経験をしていると思います。

それと同じように、「自然なコミュニケーション」のことをいくら詳しく知ったとしても、それだけでは、自然なコミュニケーションをしている振りが上手になれたとしても、本当に自然なコミュニケーションができる人にはなれません。

では、どうすれば良いのでしょうか?

ここで重要になってくるのが、諦めて意識に昇らなくなった「本来の自分」が望んでいたコミュニケーションに気づくことです。

なぜなら、「本来の自分」が望んでいたコミュニケーションこそが、自然なコミュニケーションだからです。

「本来の自分」が望んでいたコミュニケーションに気づき、それが実践できるようになることによって、自分にとって本当に自然なコミュニケーションを取り戻すことにつながるのです。

【第3の壁】 自然なコミュニケーションを実践出来る頻度

最後、第3の壁は、自然なコミュニケーションを実践出来る頻度です。

自然なコミュニケーションを回復させるためには、自然なコミュニケーションを知り、「本来の自分」が望んでいたコミュニケーションに気づくだけでは、まだ、足りません。

一旦身に付いたコミュニケーションの癖は、簡単には変わりません。

ある程度の期間、自然なコミュニケーションを密に練習したり体験したりする必要があります。

子供なら、先生や色々な大人と接したり、同級生・先輩・後輩たちと接したりする中に、そのようなコミュニケーションを密に体験できる機会は沢山あるものなのですが、成人してしまったら、経済活動に比重が置かれた日常生活では、そのような機会にはあまり恵まれません。

そんなとき、心理カウンセリングをそのような機会を得る場として活用できます。

カウンセリングの種類は、メールカウンセリングよりも電話カウンセリングや対面カウンセリング(対面カウンセリングやグループカウンセリング)が適しているのですが、いきなり心理カウンセリングに赴くのはとても勇気のいるものです。

そのようなときには、メールカウンセリングや電話カウンセリングが活用できます。

【補足】

心理カウンセリングが心に働く理由は、次のリンク先で説明していますので参考にして下さい。
、『 心理カウンセリングに価値を見出せない方へ ・・・ 心理カウンセリングが心に働く理由 』

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